
「仕事に役立ちそうな本を買ったけれど、最後まで読む時間がない」
「以前読んだ本に書いてあったはずなのに、どこだったか思い出せない」
「専門書を買ったものの、必要な情報を探すだけでも時間がかかる」
仕事をしながら勉強している経営者や個人事業主の方なら、こんな経験があるのではないでしょうか。
そんな「本は持っているけれど、活用しきれていない」という悩みを、AIが解決してくれる時代が近づいています。

Googleは2026年8月、新しい取り組み「Expert Intelligence」を発表しました。

簡単にいうと、
購入した本などの信頼できる情報源をAIに読み込ませ、その内容について質問したり、要約したり、学習に活用したりできる仕組み
です。
まずはGoogle Play Booksで購入した対象電子書籍を「Gemini Notebook」に追加して利用できるようになりました。
今回は、このExpert Intelligenceで何ができるのか、そして中小企業や個人事業主の仕事にどのような可能性があるのかを見ていきます。
Googleの「Expert Intelligence」とは?

Expert Intelligenceは、著者や出版社、専門家などが持つ「信頼できる知識」をGoogleのAIサービスで活用しやすくする取り組みです。
第一弾として、Google Play Booksで購入した対象電子書籍をGemini Notebookへ追加できるようになりました。
本を追加すると、その本を情報源としてAIに質問できます。
たとえば300ページあるビジネス書を購入したとします。
これまでは、
「確か社員教育について書いてあったはず……」
と思ったら、目次を確認したり、ページをめくったり、検索したりして該当部分を探す必要がありました。
Expert Intelligenceを利用できれば、
「新人教育について、この本ではどんな方法を勧めていますか?」
といった質問をAIに投げかけることができます。
AIが一般的な知識だけで答えるのではなく、購入した本の内容を根拠として回答してくれるところが重要です。

本を「読むもの」から「質問できる知識庫」へ
これは電子書籍の使い方をかなり変える可能性があります。
これまでの使い方
↓
読む
↓
覚える
↓
必要になったら思い出す
↓
該当ページを探す
AIを組み合わせた使い方
↓
Gemini Notebookに追加する
↓
必要になったとき質問する
↓
該当する知識を仕事に活用する
つまり、本が単なる「読むためのコンテンツ」ではなく、必要なときに相談できる自分専用の知識データベースに近づいていくわけです。
要約だけではない。図解や音声、クイズにもできる

Gemini Notebookへ追加した書籍は、質問するだけではありません。
Googleによると、書籍をもとに次のようなコンテンツも生成できます。
- インフォグラフィック
- Audio Overview(音声概要)
- クイズ
たとえば経営に関する本を購入した場合、重要なポイントを音声概要にして、移動中に聞き直すといった使い方も考えられます。
また、新しいIT技術や専門知識について勉強しているなら、クイズを作って理解度を確認することもできます。
「読む」だけだった本が、読む・聞く・質問する・図で見る・テストする、という複数の方法で活用できる教材へ変わっていくわけです。
中小企業なら、こんな使い方ができそう
ここからが、アポロン7として注目したいところです。
この仕組みは、単なる読書支援機能ではなく、仕事にもかなり応用できそうです。
1.経営・マネジメント本を「相談相手」にする

例えば社員教育やマネジメントについて困ったとします。
関連する本を購入していた場合、
「部下に改善点を伝えるときのポイントを3つ教えて」
「小さな会社でも実践できる方法に絞って教えて」
「明日の面談で使えるように整理して」
といった質問ができるようになります。
本を最初から読み直さなくても、必要な部分から考え始められます。
2.ITやパソコンの専門書を仕事中に調べる

Excel、WordPress、ネットワーク、セキュリティ、生成AIなど、IT関連の本はページ数が多いものも少なくありません。
そこで、
「バックアップについて書かれている部分を初心者向けに説明して」
「この本で推奨されているセキュリティ対策を一覧にして」
「社員5人程度の会社なら、どれから実施すればいい?」
などと質問できれば、必要な情報へたどり着く時間を短縮できます。
3.社員教育にも活用できる可能性

専門書を教材として使っている会社なら、
- 「この章の重要ポイントを5つにまとめて」
- 「新人向けの確認問題を10問作って」
- 「専門用語を初心者にもわかる言葉で説明して」
といった使い方も考えられます。

注意点
Gemini Notebook上で対象書籍を利用するには、原則としてその人自身がGoogle Play Booksで対象書籍を所有している必要があります。ノートを共有しても、未購入の人がその書籍内容をそのまま利用できる仕組みではありません。
10万冊以上からスタート

Googleの発表では、Expert Intelligence開始時点で10万冊以上の書籍が対象となっています。
参加出版社には、O’Reilly Media、Penguin Random House、Macmillan Publishers、Johns Hopkins University Pressなどが含まれています。
さらに複数の著名な著者とも連携し、書籍だけでなく追加資料などを組み合わせた特別なNotebookも用意されています。
対象書籍については、Google Play Booksの書籍詳細ページから確認できます。
今後は「本」以外にも広がる予定
さらに注目したいのが今後の展開です。
GoogleはExpert Intelligenceについて、書籍だけで終わらせる予定ではありません。
- サードパーティーのサブスクリプション
- ビジネス向けリサーチレポート
- 教科書
などへ情報源を拡大していく計画を明らかにしています。
さらにGemini Notebookだけでなく、将来的にはGeminiアプリやGoogle検索のAI ModeでもExpert Intelligence対応コンテンツを活用できるようにする方針です。
「インターネット全体からAIが答えを探す」だけではなく、「自分が契約・購入している信頼できる専門情報からAIが答えを探す」という使い分けができる時代になっていくかもしれません。
Google Play Booksには別のAI読書機能も

ちなみにGoogle Play Booksでは、「Book insights」というGeminiを利用した読書支援機能も拡大しています。
こちらは、
- ここまで読んだ内容を振り返る
- テーマについて質問する
- 登場人物や背景について詳しく調べる
といったことができる読書支援機能です。
Googleが電子書籍と生成AIの連携を積極的に進めていることが分かります。
「AIがあるから本を読まなくていい」わけではない

ここは誤解しないようにしたいところです。
Expert Intelligenceは「もう本を読まなくても大丈夫」というサービスではありません。
本をじっくり読むことで、著者の考え方や話の流れ、背景まで理解できることには大きな価値があります。
一方、仕事をしていると、
「300ページ全部を読む時間はない。でも今、この問題について専門家の考えを知りたい」
という場面があります。
そんなときに、必要なところへ素早くアクセスするという使い方ができるのがAIの強みです。
本を「一度読んで本棚に置いておくもの」から、必要になったら何度でもAIを通じて活用できる知識資産へ変えられる可能性があります。
AI活用で重要なのは「何を使うか」より「何に使うか」

ChatGPT、Gemini、Gemini Notebookなど、生成AIサービスは急速に進化しています。
しかし、中小企業や個人事業主の方からすると、
「結局、うちの会社では何に使えばいいの?」
という部分が一番難しいのではないでしょうか。
文章作成だけがAI活用ではありません。
- 社内資料を探す
- 長い資料を要約する
- マニュアルを作る
- 社員教育に使う
- 専門知識を調べる
- 会議資料を整理する
こうした毎日の小さな作業にもAIを活用できます。
大切なのは、流行しているAIを片っ端から導入することではなく、
「今まで時間がかかっていた仕事を1つ、AIに手伝わせてみる」
ことです。
今回のExpert Intelligenceも、その選択肢の一つになっていくでしょう。
まとめ|「読む時間」だけでなく「探す時間」もAIで減らす時代へ

GoogleのExpert Intelligenceによって、購入した対象電子書籍をGemini Notebookへ追加し、本の内容に基づいてAIへ質問できるようになりました。
今後は書籍だけでなく、ビジネスリサーチや教科書などにも対象が広がる予定です。
これまで生成AIというと、
- 文章を書いてもらう
- インターネットで調べてもらう
という使い方が注目されてきました。
しかし、これからは、
「自分が信頼している情報をAIに探してもらう」
という使い方がますます重要になるのではないでしょうか。
本を全部読む時間がない。
資料を探している時間がもったいない。
社内に情報はあるのに活用できていない。
こうした「情報を探す時間」を減らすことも、立派な業務効率化です。
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まずは普段時間がかかっている仕事を一つ見つけて、そこからAI活用を始めてみませんか?
