
「毎日のメール作成に意外と時間がかかる」
「Excelへの入力や集計をもっと簡単にできないだろうか」
「会議の議事録を作るだけで時間がなくなってしまう」
一つひとつは小さな作業でも、毎日、毎週と繰り返していれば、かなりの時間になります。

特に、専任のIT担当者がいない中小企業では、事務担当者がパソコンの設定やExcel、メールなども兼任していることがあります。日々の仕事をこなすだけで精いっぱいになり、「もっと効率化できそう」と思っていても、具体的な改善まで手が回らないこともあるでしょう。
そこで活用を検討したいのが、ChatGPTなどの生成AIです。
AIというと大掛かりなシステムを想像するかもしれませんが、メールの下書き、会議内容の整理、Excel作業の補助、マニュアルの作成など、普段の事務作業から始める方法もあります。
ただし、会社で利用する以上、「便利だから自由に使えばよい」というものでもありません。入力する情報や確認方法など、最低限のルールも必要です。
今回は、中小企業が無理なく始められるオフィス業務でのAI活用と、導入前に考えておきたいことを紹介します。
中小企業の事務作業でもAIは使える?

生成AIは、中小企業の日常的な事務作業にも活用できます。
株式会社BOTANICOが2026年6月に既存クライアントを対象として実施した調査では、回答企業の80%が、事務作業ですでにAIを利用している、または「可能であれば活用したい」と回答したとされています。
ただし、この調査の有効回答数は10件です。そのため、「日本企業の8割がAIを導入している」という意味ではありません。
あくまで限られた対象への調査ですが、事務作業をAIで効率化したいと考えている企業があることを示す一例と考えたほうがよいでしょう。
特に中小企業では、
- 事務担当者が少ない
- 一人が複数の業務を担当している
- 特定の人しか分からない仕事がある
- 日々の仕事が忙しく、業務改善まで手が回らない
といった状況もあります。
AIですべてを解決することはできませんが、こうした環境だからこそ、毎日繰り返している小さな作業を効率化することには意味があります。
AIはどんな事務作業に使える?

「会社でAIを導入する」と聞くと、新しいシステムを導入したり、業務の仕組みを大幅に変更したりするイメージがあるかもしれません。
しかし、最初から大掛かりなことをする必要はありません。
まずは、現在行っている仕事の一部をAIに手伝ってもらうところから始められます。
メール文章の下書きを作ってもらう

取引先への案内、問い合わせへの返信、お詫び、見積書や請求書を送る際の連絡など、仕事では文章を書く機会が多くあります。
「伝えたい内容は決まっているけれど、文章にするまで時間がかかる」という場合には、AIを下書き作成に利用できます。
例えば、伝えたい内容を箇条書きにして、「この内容を取引先向けの丁寧なメールにしてください」と依頼すれば、文章のたたき台を作ることができます。
もちろん、そのまま送信するのではなく、宛先、金額、日付、商品名、伝達内容などを人が確認することが重要です。
ゼロから文章を考えるのではなく、AIに下書きを作らせて人が仕上げるという使い方が現実的です。
会議や打ち合わせの内容を整理する
会議が終わったあと、メモや文字起こしを見ながら議事録を作るのに時間がかかっていないでしょうか。
文字になっている会議内容があれば、AIを利用して、
- 決定事項
- 今後行うこと
- 担当者
- 期限
- 次回確認すること
などに整理する方法があります。
ただし、AIによる要約では重要な発言が抜けたり、内容を正しく解釈できなかったりする可能性があります。
重要な会議であれば、元の記録と照らし合わせて確認する必要があります。
Excelで分からないことを相談する
Excelの作業でもAIを利用できます。
例えば、「A列の日付から月だけを取り出したい」「売上が10万円以上なら『達成』と表示したい」「担当者ごとの売上合計を出したい」といった質問をして、関数や作業方法を確認できます。
社内にExcelに詳しい人がいない会社では、分からない操作について質問できる相手として利用する方法もあります。
ただし、顧客情報や売上データなどを含むExcelファイルを、そのまま外部のAIサービスへアップロードしてよいとは限りません。
操作方法を質問することと、会社の実データを入力することは分けて考える必要があります。
社内マニュアルのたたき台を作る
中小企業で注意したいのが、「その仕事は○○さんしか分からない」という業務の属人化です。
例えば、
- 新しいパソコンを用意するときの設定
- 請求書を発行するときの手順
- ホームページのお知らせを更新する方法
- 新入社員のメールを設定する手順
- 毎月行っているデータの保存方法
などです。
担当者の頭の中にしか手順がないと、その人が休んだり退職したりした際に、業務が止まる可能性があります。
既存のメモや手順をAIに整理させ、マニュアルのたたき台を作る方法もあります。
ただし、AIが実際の社内環境を理解しているわけではありません。完成した手順は実際の操作と照らし合わせ、間違いがないか確認しましょう。
AIを導入する前に「時間がかかっている仕事」を探す

AI活用で重要なのは、AIを使うこと自体を目的にしないことです。
「ChatGPTを導入したけれど、結局何に使えばよいか分からない」という状態では意味がありません。
先に確認したいのは、「社内のどの仕事に時間がかかっているのか?」ということです。
例えば、毎日15分かかっている作業があるとします。
月20日行えば300分、つまり月5時間です。
仮にその作業を5分に短縮できれば、1回あたり10分、月では約3時間20分を別の仕事に使える計算になります。
1回だけなら小さな差でも、毎日繰り返す業務ほど改善効果は積み重なります。
AIだけに限定せず、
- 同じ文章を毎回作っていないか
- 同じデータを何度も入力していないか
- Excelで毎回手作業の集計をしていないか
- 担当者によって作業方法が違っていないか
- 紙からパソコンへ何度も転記していないか
といった点を確認すると、改善候補を見つけやすくなります。
場合によっては、AIを使うよりもExcelの表を見直したり、クラウドサービスを利用したり、既存ソフトの設定を変更したりするほうが適していることもあります。
会社の情報を何でもAIに入力して大丈夫?

会社で利用する場合、どんな情報でも自由にAIへ入力してよいわけではありません。
特に注意したいのが情報管理です。
例えば、
- 顧客の氏名や住所
- 電話番号やメールアドレス
- 契約情報
- 社外秘資料
- パスワード
- 個人情報を含むデータ
- 公開前の社内情報
などを扱う場合には注意が必要です。
利用するAIサービスや契約内容によって、データの取り扱いや利用できる機能などは異なります。
会社で利用を始めるのであれば、少なくとも、
- どのAIサービスを業務で使ってよいか
- どんな情報を入力してよいか
- 入力してはいけない情報は何か
- AIが作った内容を誰が確認するか
- 社員が個人で契約したAIサービスを業務利用してよいか
などを決めておくことをおすすめします。
便利さだけを優先して、社員がそれぞれの判断で業務データを入力する状態は避けたほうがよいでしょう。
AIが作った内容は人が確認する

生成AIは便利ですが、出力した内容が常に正しいとは限りません。
もっともらしい文章でも、内容に誤りが含まれていることがあります。
特に、
- 金額
- 日付
- 契約内容
- 顧客情報
- 法律や制度
- 社内ルール
などに関係する内容は、人による確認が重要です。
そのため、最初は、要点を入力 → AIが下書き・整理 → 人が確認・修正 → 実際の業務で使用という流れにすると分かりやすいでしょう。
「AIに全部やってもらう」のではなく、時間がかかる下書きや整理をAIに任せ、最終判断を人が行う考え方です。
AIだけでなくパソコンや業務環境全体を見ることも大切

実際の会社の事務作業では、一つのソフトだけで仕事が完結しているとは限りません。
例えば、メールを受信 → 添付ファイルを保存 → Excelへ入力 → 社内で共有 → データを保存といったように、メール、Excel、パソコン、クラウドなど複数の環境をまたいで仕事をしていることがあります。
そのため、事務作業を効率化するときには「AIで何ができるか」だけを見るより、現在の仕事がどのような流れになっているかを整理することが大切です。
AIを使うべき部分もあれば、Excelを改善したほうがよい部分、ファイルの保存場所を統一したほうがよい部分、そもそもの作業手順を変えたほうがよい部分もあります。
特に「詳しい社員が何となく全部管理している」という会社では、業務効率化と一緒に、アカウントやパスワード、データの保存場所、バックアップなども確認しておくと、担当者の退職やパソコン故障への備えにもつながります。
中小企業こそ「小さなAI活用」から始める
AI活用というと、会社全体のDXや大規模なシステム導入を考えてしまいがちです。
しかし、中小企業の場合は、日常業務の小さな改善から始める方法があります。
例えば、
- メールを書く時間を減らす
- Excelで分からない関数をAIに質問する
- 会議内容を整理する
- 社内マニュアルの原稿を作る
といった使い方です。
慣れてきたら、ExcelやGoogle Workspace、Microsoft 365、その他のクラウドサービスなど、普段使っているIT環境との組み合わせを検討する方法もあります。
大切なのは「AIを導入した会社になること」ではありません。
今より仕事をしやすくすることです。
「この作業、もっと簡単にならない?」から始めてみませんか

毎日当たり前のように行っている事務作業の中には、パソコンやAI、クラウドサービスなどを利用することで改善できるものがあります。
「毎回同じようなメールを書いている」
「Excelへの入力や集計に時間がかかる」
「同じ内容を何度も転記している」
「担当者しか分からない仕事がある」
「AIを使ってみたいけれど、会社の情報を入力してよいのか判断できない」
こうした状況があれば、まず現在の業務を整理するところから始めてみましょう。
AIを使うことが目的ではなく、面倒な作業を減らし、本来の仕事に使える時間を増やすことが目的です。
中小企業や個人事業主のIT活用についてまとめてご相談
アポロン7では、ホームページだけでなく、パソコン、メール、Excel、Microsoft 365・Google Workspace、クラウドサービスなど、中小企業や個人事業主のIT活用についてまとめてご相談いただけます。
「ChatGPTを仕事で使いたいけれど、何から始めればよいか分からない」「この事務作業をもっと簡単にできないか見てほしい」といった、まだ解決方法が決まっていない段階のご相談でも構いません。
AIありきではなく、実際の作業内容を確認しながら、Excelの見直しやパソコン・クラウド環境の整理なども含めて改善方法を考えます。スポットでのご相談だけでなく、社内に専任IT担当者がいない会社の継続的なIT管理にも対応しています。
水戸市を中心に、ひたちなか市、那珂市、茨城町、笠間市、常総市など茨城県内の企業・事業者様のITに関するご相談に対応しています。
