
「DXのために新しいシステムを導入したのに、思ったほど仕事が楽になっていない」
「以前より使うシステムは増えたのに、Excelへの入力や紙の処理はそのまま残っている」
中小企業では、このようなことが起こる場合があります。
DXというと、新しいシステムやAIを導入することに目が向きがちです。しかし、システムを導入しただけで、それまで行っていた作業が自動的になくなるわけではありません。
むしろ重要なのは、システムの導入後も人が繰り返している作業を見つけることです。
大規模なシステムを新しく導入しなくても、毎日10分、20分とかかっている作業を一つずつ見直すことで、実際の業務負担を減らせる可能性があります。
DX化したのに、なぜ仕事が減らない?

DXやシステム導入を進めても、業務負担の軽減につながっていない企業があることは、業務システムを提供する調査でも示されています。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
一つの理由として考えられるのが、新しいシステムの「外側」に従来の仕事が残っていることです。
例えば、会社の中を確認してみると、次のような作業が残っていないでしょうか。
- システムに登録した数字をExcelにも入力する
- Excelの内容を別のExcelへ転記する
- メールで届いた注文内容をシステムへ手入力する
- 紙の書類を見ながらパソコンへ入力する
- FAXで届いた書類を担当者へ渡す
- 同じ会社名や金額を複数の場所へ入力する
- システムからデータを出力して、毎月Excelで同じ集計をする
一つひとつは数分で終わる作業かもしれません。
しかし、それを毎日、毎週、複数の社員が行っていれば、会社全体ではかなりの時間になります。
システムそのものではなく、システムとExcel、メール、紙、人との間に残った作業を見ることが大切です。

中小企業は「全部DX」しなくてもいい

業務改善というと、「会社全体のシステムを入れ替えなければならない」と考えてしまうかもしれません。
しかし、必ずしも大規模な変更から始める必要はありません。
例えば、毎日20分かかる作業があったとします。
月20営業日なら、それだけで1人あたり月400分です。同じような作業がいくつもあったり、複数の社員が行っていたりすれば、負担はさらに大きくなります。
だからこそ中小企業では、最初から「会社全体をDX化する」と考えるよりも、毎日・毎月繰り返している面倒な作業を一つ減らせないかという視点から始める方法があります。
すでに使っているExcel、メール、Microsoft 365、Googleのサービスなどを見直すだけで改善できる場合もあります。
最初に探したいのは「何度も繰り返している仕事」

何から改善すればよいか分からない場合は、社員が繰り返している仕事を書き出してみてください。
特に確認したいのは、次のような作業です。
- 毎日同じExcelファイルを作っている
- 毎月ほぼ同じ集計をしている
- 同じ情報を2回、3回と入力している
- 定型的なメールを毎回最初から作っている
- 必要なファイルや書類を探す時間が長い
- 社員から同じ操作方法を何度も質問される
- 担当者しか作業方法を知らない
- 紙で受け取った情報をパソコンへ入力し直している
こうした仕事は、改善できる可能性があります。
ただし、単純に「自動化すればよい」とは限りません。
なぜそのExcelが必要なのか、入力したデータを誰が使うのか、その後どのシステムへ渡すのかまで確認しないと、別の場所に手作業が増えてしまうこともあります。

Excelへの二重入力はなくせる?

なくせる場合がありますが、まず二重入力が発生している理由を確認する必要があります。
例えば、「販売管理システムへ入力した後、社内管理用Excelにも同じ売上を入力している」という場合です。
すぐにExcelを廃止するのではなく、
- Excelは何のために使っているのか
- システムから必要なデータを出力できないか
- CSVなどでデータを受け渡しできないか
- Excel側で本当に必要な集計は何か
- 二重入力をやめても確認作業に問題がないか
といった点を整理します。
「昔からこの方法だから」という理由だけで続いている作業なら、見直せる可能性があります。
一方で、業務システムとの連携や重要なデータの加工が必要な場合は、元データを壊さないよう慎重な確認が必要です。
AIも「文章を作るだけ」ではない

ChatGPTなどの生成AIというと、文章作成を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、日常業務を整理するための補助として使える場面もあります。
例えば、
- 定型メールの下書きを作る
- 会議のメモから議事録の形に整理する
- Excelで必要な関数や集計方法を考える
- データを分類・整理する方法を考える
- 社内マニュアルのたたき台を作る
- よくある問い合わせへの回答文を作る
- 繰り返し作成する文章のテンプレートを作る
といった使い方です。
ただし、会社でAIを利用する場合は、顧客情報、個人情報、社外秘情報などを安易に入力しないことが重要です。
利用するサービスの契約内容やデータの取り扱いを確認し、社内で「何を入力してよいか」を決めておく必要があります。
AIを導入すること自体を目的にするのではなく、今ある仕事のどこに時間がかかっているのかを確認したうえで使うことが大切です。
新しいシステムを増やす前に、今の仕事を整理する

仕事を減らしたいと考えたとき、すぐに新しいクラウドサービスや業務システムを探す必要はありません。
先に確認したいのは、現在の仕事の流れです。
例えば、「注文がメールで届く」→「担当者がExcelへ入力する」→「別の担当者がシステムへ入力する」→「月末にExcelで集計する」という流れなら、どこかに同じ情報を扱っている作業がないかを確認します。
そのうえで、
- 今使っているシステムの機能で対応できないか
- Excelの作り方を変更できないか
- データを直接利用できないか
- 定型作業をテンプレート化できないか
- 保存場所やファイル名のルールを統一できないか
などを検討します。
新しいツールを追加すると、アカウント管理、料金、社員への説明、データ管理など、新たな仕事も増えます。
「便利そうだから導入する」ではなく、「この作業を減らすために必要だから使う」という順番で考えることが重要です。
自動化する前に相談した方がよい業務もある

ExcelやAIを使えば、さまざまな業務を効率化できます。
一方、会社の重要なデータを扱う作業を、仕組みが分からないまま変更するのはおすすめできません。
特に、
- 顧客情報や個人情報を扱っている
- 複数の社員が同じファイルを使用している
- 元データのバックアップがない
- 業務システムとの連携が必要
- 担当者しか現在の仕組みを理解していない
- 間違えると請求や受発注などに影響する
- どのファイルが最新版なのか分からない
といった場合は、現在の業務とIT環境を整理してから進めた方が安全です。
自動化することよりも、まず「今どうなっているのか」を把握することが先になるケースもあります。
まとめ|DXは「システムを増やすこと」から始めなくてもいい

「DXと言われても何から始めればいいか分からない」
「システムを導入したものの、結局Excelや手入力が残っている」
「毎月同じ作業を繰り返している」
そんな場合は、まず現在の業務の中から「何度も繰り返している作業」「同じ情報を何度も入力している作業」「探すのに時間がかかっているもの」を見つけてみてください。
会社全体を一度に変えなくても構いません。
毎日10分、20分かかっている仕事を一つずつ減らすことも、中小企業にとって実用的な業務改善です。
アポロン7では、システムを販売することだけを前提にするのではなく、現在使っているPC、Excel、メール、クラウドサービスなども含めて、日常業務の中で改善できそうな部分を一緒に整理します。
「何を導入すればいいか」ではなく、「何に時間がかかっているのか分からない」という段階からでもご相談いただけます。
水戸市を中心に、ひたちなか市、那珂市、茨城町、笠間市、常総市など茨城県内の中小企業・店舗・事業所のIT相談に対応しています。単発のご相談だけでなく、PC・メール・Wi-Fi・ホームページなどを含めた継続的なIT環境の確認についてもご相談ください。

